2017年7月14日金曜日

断脚

バンビ、最後の4本足の姿。
6月24日、断脚の日。
この写真を撮る前、「おしっこしたい」と自力で歩いた。草がいっぱい生えてる場所は、バンビの大好きな場所。…というか、バンビはそういう場所でしかおしっこをしない。
この場所は、獣医の玄関前で斜面になっている。下りの斜面に向かって歩き始めたバンビは、案の定踏ん張れなくてそのまま転げ落ちた。
漫画みたいにローリングしながら、斜面を本当に転がり落ちた。
バンビの最後の4本足歩行は、斜面をローリングで転がり落ちるというバンビらしい思い出となった。でも、転がり落ちているバンビの表情は、とても悲しそうに見えた。
女の子だけど、負け知らずの子だったし、いつも強かったし。というか、力技だけと言えるくらいに強かった。1メートルくらいの高さだったら助走なしで飛び越えてたし。助走つけたら、少々の柵は柵の意味がないくらいにバンビは飛び越えてた。
そんな子が、斜面を転がりおちる気持ちはどんなだっただろうか。

だから、この写真の顔は少し寂しそうに見えると、みんなに言われた。
左前肢に被せてあるのは、大げさにグルグル巻きにしてあるからではなくて本当にそのくらいの大きさの腫瘍があるからだ。

9時、獣医に入る。
術前検査で、貧血が改善傾向にあった。これで手術はできる。
レントゲンでは、肺転移はみられず。
貧血状態は、何とか手術できるというレベルなので、事前に輸血を受ける。

輸血も付き添うつもりだったけど、「こちらでお預かりします」の一点張りの獣医側の言葉に、私は苦笑いしながら「何かあったら電話ください」と言って、近くの蕎麦屋さんに食事をとりに行った。
入院室からバンビの雄たけびが聞こえる(笑)

14時、獣医に戻る時間。
バンビは手術台の上に既に置かれていた。嗄声になってる。ずっと鳴いてたんだな。
腫瘍を覆っていた吸収シートはボロボロになっていて、中の腫瘍もぐちゃぐちゃになっている。かじったんだ!!
この状態になってようやく、「入院は無理だと言われた意味が分かりました」と言われた(笑) 

鎮静から麻酔。剃毛していく。バンビの(私にとって)かわいいグレーの毛がバリカンで落とされていく。麻酔で弛緩した肛門からうんちが出てくる。

手術開始。
どこから切開するのだろうかと見守っていたら、案外ザクっと肩甲骨周りからいくのね。
びっくりしたのは、血管の太さだった。分枝の動脈・静脈血管が大動脈サイズになっている。そのくらい、腫瘍に血液が送られていた…ということなんだな。
がん…というと、新生血管ばかりに視点が向いていたけど、そうじゃなかった。
新生血管に血液を大量に輸送するために、手前の血管も変化するんだな…。既存サイズから太くなってしまった血管の壁は、それなりに脆弱になっていた。だから、止血のバイポーラの刺激で簡単に大出血になってしまう。止血は、血管を1本1本結索することになったので、2時間予定の手術は5時間を超えてしまった。

バンビの左前肢は、バンビから切り離された。
どんな柵も超えてたバンビと一緒だった前肢。緑色の沼の中で泳いでいたこともあった。雪の中をジャンプしながら遊んだこともあった。蛇を首に巻き付けて走ってたこともあった。

いっぱい、いっぱい、いろんなところに行って、いろんなことをして、思い出があるね。
切り離された脚を見て、「ばいばい」「ありがとう」って呟いた。

切り離した前肢から、腫瘍を病理に出すようにトゥルーバイオプシーをお願いした。
それと、火葬の手配をお願いした。いつか、バンビの全部が虹の橋を渡るとき、前肢を一緒にしてあげたいから。バンビの前肢は、先に虹の橋を渡っていった。腫瘍とともに。

バンビは術中、心拍数も呼吸数も安定して乗り越えた。麻酔の覚醒には少し時間がかかったけれど、無事に即日退院で連れて帰ってきた。


さて、ここからは術後管理が在宅になるので私次第ということになる。
しばらくは眠れないな(笑)

でも、嬉しい。
無事に帰ることができるから。


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